オプジーボやキイトルーダといったPD-1阻害剤は、これまでの殺細胞傷害性抗がん剤とは違う種類の副作用(免疫関連副作用: Immuno-related adverse event : irAE)が出現します。
免疫機能を活性化することで抗腫瘍効果を増強するPD-1阻害剤は、その効果と副作用の関係が注目されています。
PD-1阻害剤の効果と副作用の関連を調べたのが以下の論文です。
この論文では、オプジーボを投与した肺がん患者さん134人を副作用のありとなしに分類し解析しています。
その結果、免疫関連副作用(irAE)を起こした患者さんの方が、よりオプジーボが効いていることがわかりました。
副作用の種類で分類してみると、皮膚障害と内分泌障害をおこした患者さんで有意にオプジーボの効果がみられました。
このことから、オプジーボやキイトルーダといったPD-1阻害剤投与中の副作用(特に皮膚障害と内分泌機能障害)出現は、薬が効いているサインの可能性があります。
PD-1阻害剤による副作用と効果の関係は別の論文でも報告されています。
以下の論文は、148人のメラノーマ患者さんにオプジーボを投与した解析です。
この論文でも免疫関連副作用(irAE)が起きた患者さんの方がオプジーボの効果がみられたというデータでした。
免疫関連副作用(irAE)の内容を見てみますと、皮膚障害がおきた患者さんの方で効果が高いということがわかります。
この論文では皮膚障害について更に詳しく調べてあります。
白斑の出現
この論文では、白斑が出現した患者さんの方が効果があることを見出しています。
白斑(はくはん)は、皮膚の色が抜けて白くなる病気です。
別名、白なまずとも言われています。
皮膚の色の構成成分であるメラニンを産生するメラノサイトを、体の免疫が間違って攻撃してしまうため、皮膚の色が白く抜ける病気です。
オプジーボ治療で出来る白斑
メラノーマは、皮膚の色を作る細胞であるメラノサイトが癌化したものです。
メラノーマ細胞を免疫細胞が攻撃する際、メラノーマ細胞が出すタンパク質を目印とします。
この時、目印となるタンパク質がメラノーマ特有のものとは限りません。
もしかしたら、正常のメラノサイトの成分と共通しているものが目印となり攻撃している可能性もあります。
そうなると、体の免疫はメラノーマ細胞を攻撃する同じシステムを使って、誤って全身の色を作る細胞(つまりメラノサイト)を攻撃します。
結果として、全身に白斑が出現します。
オプジーボを投与中に、白斑が出現するということは皮膚の色を作るメラノサイトを攻撃する免疫機能が活発になっているサインです。
当然、メラノーマも攻撃していることになります。
まとめ
オプジーボなどのPD-1阻害剤を使用した場合、免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用が出現することがあります。
この副作用の出現は、PD-1阻害剤が「効いている」サインである可能性もあります。
また、疾患をメラノーマに限れば、白斑の出現はオプジーボが効いている証拠です。
抗がん剤の副作用はとても辛いものですが、こういった知識が少しでも役に立つことを祈っています。