オプジーボの副作用―大腸炎―

PD-1抗体のひとつであるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、メラノーマ(悪性黒色腫)に対して第一選択薬として使われています。

オプジーボは、メラノーマの患者さんの約40%に効果があると言われています。

しかし一方で、副作用が起きることもあります。

これまでの抗がん剤(殺細胞障害性抗がん剤)では、副作用として脱毛や吐き気などが一般的でした。

また、白血球が減って抗がん剤が注射できなかった、という話も聞いたことがあるかもしれません。

オプジーボの副作用は独特です。

これまでの抗がん剤とは違う副作用が出現します。

間質性肺炎、腸炎、甲状腺機能異常、下垂体機能異常、I型糖尿病、薬疹などがあります。

今回は、大腸炎を取り上げたいと思います。

大腸炎とは?

大腸の粘膜に炎症が起きます。

その結果、びらんもしくは潰瘍が出来、ひどい場合は腸管穿孔を起こします。

腸管穿孔は文字通り腸に穴があく状態ですが、大腸菌を含めた腸内細菌が腹腔内に漏れ出し腹膜炎を引き起こします。

腸管穿孔までいくと大変危険な状態です。

大腸炎の具体的な症状

下痢

腹痛

血便

PD-1抗体の副作用で出現する大腸炎は、腹痛を伴わない場合も多くあります。

便失禁やお腹が痛くないのに何回もトイレに行きたくなる場合など大腸炎の可能性があります。

腹痛の有無も大事ですが、排便の数が重要になります。

普段の排便回数と、それに比べて何回増えたか、記載しておいて欲しい情報です。

大腸炎が起きる頻度は、同じオプジーボを使っていても、癌の種類によって変わります。

メラノーマの場合、3.4%の人(100人に3人くらいの人)が大腸炎を起こします。

肺がんでオプジーボを使用した場合は割合が下がり、0.9%(100人に1人くらいの人)です。

同じ薬を使っていても副作用の頻度が違うのは不思議です。

大腸炎が出現するタイミングですが、早い人はオプジーボ投与した次の日から症状が出る人もいます。

これまでの報告では1年以上経ってから副作用が出た人もいるため、最初に副作用が出なかったからと言って安心せず注意が必要な副作用です。

オプジーボを使って治療中の患者さんは注意が必要です。

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