オプジーボの副作用―甲状腺機能障害―

PD-1抗体のひとつであるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、メラノーマ(悪性黒色腫)に対して第一選択薬として使われています。

オプジーボは、メラノーマの患者さんの約40%に効果があると言われています。

しかし一方で、副作用が起きることもあります。

これまでの抗がん剤(殺細胞障害性抗がん剤)では、副作用として脱毛や吐き気などが一般的でした。

また、白血球が減って抗がん剤が注射できなかった、という話も聞いたことがあるかもしれません。

オプジーボの副作用は独特です。

これまでの抗がん剤とは違う副作用が出現します。

順次解説していきますが、間質性肺炎、腸炎、甲状腺機能異常、下垂体機能異常、I型糖尿病、薬疹などがあります。

今回は、甲状腺機能異常を取り上げたいと思います。

甲状腺とは?

まず、甲状腺についてから解説したいと思います。

甲状腺は喉ぼとけのすぐ下辺りに存在しホルモンを産生する臓器です。

大きさは4cmほどですので、1円玉を2つ並べたくらいのイメージ。

甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌します。

甲状腺ホルモンは代謝や交感神経に作用する重要なホルモンです。

オプジーボの副作用として、この甲状腺の機能に障害が受けてしまうことがあります。

甲状腺機能障害

甲状腺の機能に障害を受けると、代謝や交感神経の制御に影響が出ます。

甲状腺ホルモンが出すぎてしまうのが甲状腺機能亢進症です。

甲状腺機能亢進症としてはバセドウ病が有名です。

反対に甲状腺ホルモンが出なくなる(低下する)のが甲状腺機能低下症です。

甲状腺機能障害の具体的な症状

甲状腺機能低下症は以下のような症状が出ます。

だるい

むくみ

寒がる

動作が遅い

一方、甲状腺機能亢進症の症状は以下です。

汗をかきやすい

体重が減る

胸がドキドキする

手が震える

不眠

甲状腺機能障害が起きる頻度は、同じオプジーボを使っていても、癌の種類によって変わります。

メラノーマの場合、28.9%の人(10人に3人くらいの人)が甲状腺に副作用が起きます。

出現するタイミングですが、早い人はオプジーボ投与した次の日から症状が出る人もいます。

これまでの報告では1年以上経ってから副作用が出た人もいるため、最初に副作用が出なかったからと言って安心せず注意が必要な副作用です。

重症なものは少ないのですが、頻度の多い副作用です。

上記の副作用が出た場合は甲状腺機能障害の可能性があります。

オプジーボを使って治療中の患者さんは注意が必要です。

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