免疫チェックポイント阻害剤には現在、2種類の作用機序が違う薬剤が存在します。
1つがPD-1抗体(オプジーボ、キイトルーダ)であり、もう一つがCTLA-4抗体(ヤーボイ)です。
それぞれの作用機序に関しては、オプジーボとヤーボイの記事を参考にしてください。
さて、このオプジーボとヤーボイの併用療法がメラノーマ(悪性黒色腫)に対して、2018年5月25日、日本で認可されました。
効果に関して
オプジーボとヤーボイの併用療法に関しては、既に治験のデータが論文となって公開されています。
代表的なものがCheckMate 067という試験です。
この治験では、約900人のメラノーマの患者さんを3グループにわけて効果を検討しています。
1つ目のグループはヤーボイのみで治療した場合、2つ目がオプジーボのみで治療した場合、3つ目がオプジーボとヤーボイの併用療法を実施した場合です。
効果を比べてみると、ヤーボイ単剤では19%、オプジーボ単剤では44%、オプジーボとヤーボイの併用療法では58%の患者さんの腫瘍が縮小しました。
副作用に関して
効果だけで比較した場合、オプジーボとヤーボイの併用療法が一番効果があることがわかります。
しかし、この併用療法に関しては、副作用が高頻度で出ることが知られています。
重篤な有害事象が発生した頻度ですが、ヤーボイ単剤は55%、ニボルマブ単剤は42.5%、オプジーボとヤーボイの併用療法が71.2%となっています。
効果は期待できるけれども副作用には十分注意が必要な治療法です。
併用療法が効果の期待できるグループ
CheckMate 067という試験では、併用療法がより効きやすい患者さんに関しても解析されています。
その中で、以下の項目のメラノーマでは併用療法がより長く効果的であるとわかりました。
BRAF遺伝子変異ありのメラノーマ
PD-L1の発現率が1%以下であるメラノーマ
それぞれの詳細に関してはまた別記事で解説したいと思います。
まずは、オプジーボとヤーボイの併用療法がメラノーマで使用可能となったこと
効果が期待できることから、重篤な副作用に注意しつつ選択肢として考えたい治療法です。
ただし、日本では化学療法未治療の患者さんのみ対象となっています。
また、PD-L1の発現が1%未満のメラノーマに限定されていることから注意が必要です。
PD-L1の発現や、バイオマーカー、BRAF遺伝子変異といったキーワードはメラノーマの治療を理解する上で非常に重要になりますので、この先説明していこうと思います。